頸動脈をモニターに表示させた状態で直接モニター上から内膜中膜複合体厚(IMT)を 計測する場合には幾つかの問題点が存在します。モニター解像度の問題 現在一般の病院などで使われている超音波診断装置のモニターは元々が全体の画像の 形を移すのを目的としているためそれほど解像度は高くありません。 通常のモニターと印刷の場合の解像度を比較した場合どちらも画素当たり0.01mmは確保できて いませんがエコーのビデオプリンタで印字させた後ノギスで測る従来の方法の方が比較的 解像度は確保できていると言えそうです。従ってモニター上で直接測る場合が一番精度の面で怪し そうだと言えるかも知れません。
例えば15インチ程度の大きさで縦が600ピクセル程度、21インチのモニターを使っても せいぜい1024ピクセルぐらいです。最近では特殊な医療用モニターも販売されてきました ので最高2560ピクセルもありますがエコー用として使われていません。

例えば通常使われているプローブの幅が45mmの7.5MHzリニアプローブの場合下のように 横幅45mm深さ40mmぐらいのエリアがモニターで表示されるようになっているはずです。 もちろん拡大することは可能ですがプローブの周波数が上がるわけではありませから 情報が増えるわけでもなくデジタル的なズームをかけたに過ぎません。分解能をあげるには 同じ画面を横幅30mm深さ30mmで使える10MHzプローブや15MHzプローブを使う必要があります。 15インチ程度のモニターが使われている場合深さ方向で600ピクセル程度がせいぜいですから 上下にスケールや色々な情報を考慮するとそのうち400ピクセルぐらいが使える範囲です。 実際下の一般的なエコーでは10mmが100ピクセル程度の分解能しかありません。 このままでは計算するとモニターで見える範囲は1pixel 0.1mmにすぎません。現実には 2倍に拡大したりして測定するはずですから下の例のようにIMT部分が拡大されるはずです。 それでもモニターとプローブの分解能の限界からくる1 ピクセル以下の情報が見えるわけでは ありません。下の例では直接モニター上で測る場合の0.1mm以下は無視されることになります。
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それでもこの1ピクセル以下(サブピクセル)に表現された情報はグラデーションなどに含まれた 情報からなんとなく判断できるはずです。例えば上の例のように滑らかな境目が推測されます。 おそらく20年間過去に蓄積されたIMTデータは熟練者の勘でこのサブピクセルに含まれた情報を 読みとっていたものと思われます。とくにビデオプリンターで印刷された場合にプリントのドットが 0.01mmの分解能を持たないとするとインクのシミがこのグラデーションを補っていた可能性もあります。 ただモニター上でギザギザが目立ちやすい状態で測るよりもよりは、小さなビデオプリンター用紙に 一旦印字されてからノギス等で測る方がこのサブピクセルを勘で埋める場合の確実性はより 上がったのではないかと推測できます。やはりモニター上でスケールツールを用いて直接測る場合の ほうがバラツキが大きいように思われます。 インティマスコープの特長はこのサブピクセルの情報を勘で測定していた従来の方法に多項式回帰 導入してより定量的に真値を求めようとするものです。 その目的はモニター分解能の限界とプローブ周波数の限界、さらに量子化ノイズと言われる拡大した 場合に発生するギザギザノイズなどの限界から真のIMTを定量的に推測しようとしています。

将来医療用モニターなどが低価格になり10mmで1000ピクセル、従って縦3500ピクセルぐらいの モニターが手に入るようになれば1ピクセルで0.01mmの表示が可能になりサブピクセルの問題は 解決されるはずです。しかし現状ではインティマスコープのような補助ソフトによってしか 定量的なIMT計測は不可能ではないかと考えております。 従来interobserver,intraobserverなどの変動誤差が比較的大きいとされてきたIMT計測の実際は このサブピクセルの情報を勘で測らざるを得なかった所から来ていたのではと推測させられます。 プローブの問題は最近では15MHzのものが使えるようになったため実際の計測分解能は0.01mmは クリアしされてきています。15MHz以上はエコーが頸動脈に到達する前に減衰してしまうため そろそろ限界に近づいてきています。 ただそれでもモニターの解像度の問題はエコー装置が計測を 目的としてこなかった事やモニターの価格の問題もあり解決できない問題です。
モニターの解像度以外にIMTを回帰して求める必要性はもう一つあります。
IMT計測の精度が上がってくると以外に内膜の輝度エッジや外膜の輝度エッジには滑らかな曲線では なくギザギザしていることが解ります。その場合にもこれらの多項式回帰は威力を発揮するはずです。 従来のように一点を決めても隣が少し大きかったら困ります。やはり内膜や外膜の縁は滑らかに推測して 判断しなくては計測誤差が大きくなります。