<労災保険による脳心疾患2次健診給付の創設>
平成12年1月26日 ・「健康確保支援給付制度」 (仮称)を創設(労災法・新規創設予定) 過労死予防 労働省、法改正へ。 脳心臓疾患など30万人対象、本人無料で・・・ 労働省は二十五日、企業が労働者に対し実施している定期健康診断で、脳出血や心筋こ うそくなど脳・心臓疾患の疑いから再健診の必要があるとされた場合、二次健診の費用を労 災保険から給付するなどの「健康確保支援給付制度」 (仮称)を創設することを決めた。 これら疾病が起因となる過労死を予防するのが狙いで、労災保険として予防支援対策を講 じるのは初めて。同省は、対象者は三十万人程度と試算している。 今通常国会に労災保険法改正案などを提出、来年四月から実施する方針だ。 肥満、血圧、血糖、血中脂質のすべてに異常のある人(いわゆる死の四重奏)は脳・心臓疾 患にかかりやすいと言われ、発症は正常者の三十五倍という学術研究もある。これら症状に長 時間労働など無理な労働が加わると過労死に陥る危険性が高く、最近では過労死による労災 申請も増加傾向にある。 労働省の調査によると、健康診断の受診率は九六・五%でうち有所見者は三四・八%。精密 検査が必要な人は一一・六%いたが、実際に精密検査を受けた人は必要な人のうち三九・四% と四割に過ぎなかったという。同省では「新たな制度によって再診が促され、過労死予備軍を早 期に発見、過労死を事前に防げる」と期待している。 新制度は会社の健診で、皿糖など四項目すべてに異常所見があった人が対象。診断票を持っ て労災指定病院で再診を受けた場合、受診者は支払いの必要がなく、費用はすべて病院から労 災保険に請求される。検診項目は「異常のある場所や原因、進行度合いを把握するために必要な もの」としている。 具体的には超音波を使って動脈や心臓の状況を画像診断するエコー検査や空 腹時の血糖・血中脂質検査などが考えられ、同省では一人三万円程度を想定している。 このほか、脳・心臓疾患は偏った生活習慣が原因になることも多いことから運動、休養、栄養改 善に関する医師による保健指導などの費用も支給の対象に加える考えだ。 新制度は同日、労働省の労災保険審議会(会長・保原喜志夫天使女子短大数授)が建議。制 度について使用者側委員からは「法定給付は適当でない」との反対意見もあったが、最終的に創 設で一致した。 (別紙) 労働者災害補償保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律案概要 1 趣旨 業務上の事由による脳血管疾患及び心臓疾患の発生の増加に対応し、脳血管疾患 及び心臓疾患の発生のおそれがあることを示す異常の所見が健康診断で認められた 労働者に対する必要な給付を設ける等所要の措置を講ずる。 2 概要 (1) 二次健康診断等給付の創設 労働安全衛生法第66条第1項等の健康診断において、業務上の事由による 脳血管疾患及び心臓疾患の発生に関連する血圧検査等の検査の結果、労働者に 異常の所見があると診断されたときに、その労働者に対し、医師による二次健 康診断及びその結果に基づく保健指導を労災保険の保険給付として行うことと する。 (2) 有期事業に係る労災保険料の特例の改正 有期事業(建設工事など一定期間を経過すれば終了する事業)のメリット制 (業務災害率に応じて保険料を上げ下げする制度)について、その増減幅の上 限を100分の30から100分の35に拡大する。 (3) その他 その他関係法律について所要の整備を行う。 3 施行期日 平成13年4月1日